ズムキャバ・オンラインキャバからみる、オンライン男女交遊について

要約と目次

ズムキャバやオンラインキャバは時代の要求に応えているが、その他サービスとの優位性の獲得は難しい。キスを伝える触覚提示デバイスもあるが実用にはほど遠く、最低1万円程度で環境構築ができるASMR(バイノーラル録音)を付加価値とすることが可能と考えられる。

時代はオンライン男女交遊を求めている

 未だ納まる所をしらないコロナの脅威は、都にクラブ、バー、ストリップ、漫画喫茶、映画館等の業態に休業要請を出させるに至った。一方で、ユーザー側の需要は無くなる訳はなく、国際的にも様々な形でその発散が試されている。

 海外のマッチングアプリにおいては、連絡先交換前にアプリの機能内でテレビ通話ができるものがリリースされている。対面デートが当分難しい昨今、基本テキストベースの国内アプリにおいても、この機能の実装は好ましいのではないだろうか。あとVRはなんだかんだやはりすごいよね。

MIT technology review "How coronavirus is transforming online dating and sex"https://www.technologyreview.com/2020/03/26/950282/coronavirus-online-dating-sex/#Echobox=1586441892

 Strip club launches free VR dances for coronavirus self-isolation:

https://nypost.com/2020/03/17/strip-club-launches-free-vr-dances-for-coronavirus-self-isolation/

 

 国内ナイトクラブ業界においても、LINEを用いたオンラインキャバクラやZoomを利用したズムキャバが始まっている。金額も1時間2200円と比較的安価で利用したいライト層も多いのではないだろうか。(https://onlinecaba.com/)もっとも、”ネットキャバクラ”という名前では、割と歴史が長いサービス形態の様だが割愛する。 

 一方オンラインホストは、2013年からGUYNETなるサービスが開始されていたようだが、現在サイトにはつながらない。その他もGoogleSEOを勝ち抜いてくるサイトも見当たらなかった。やはりホスト好きな女性は対面を求める傾向があるのかもしれない。

 

 これらナイトクラブのオンライン化は目新しく映るが、元々接客のプロではない男女間の遠隔交遊は、既に多く存在している。

 例えば、”スカイプちゃねるw”はユーザーが性別情報と目的を記載し、SkypeIDでつながる掲示板だ。勉強や寝落ち作業の相手探しや、共通の趣味で盛り上がるようだ。

 無論、”Youtuber”や”イチナナライバー”の配信における投げ銭システム。将又、素人サービスプラットフォームで提供されるコミュニケーションも、広い意味ではキャバクラ・ホストの類型と言えるだろう。

 また、かつて世間を騒然とさせた”JKモーニングコールhttps://jkmorning.com/”も忘れることはできない。ちなみに2016年2月27日に正式にサービス開始がされ、2019年12月にサービス再開の動画も配信されている。販促というよりドキュメンタリーだが、サービスの0-1と1-100の違いと負担の重さが滲みまくっている。大変だったんだな。https://www.youtube.com/watch?v=k18YD809vGI

オンライン交遊における差別化とASMR

 直感的にはオンラインナイトクラブサービスは、相席屋マッチングアプリの台頭によって流出する若年層を取り戻すライトサービスになれるのではないかとは思う。美貌と会話術で、プロとしての差別化を行う形だ。

 しかし今回は、ラジカルな差別化としてASMRについて調べてみた。

ASMR(Autonomous Sensory Meridian Response):

直訳すると自律感覚絶頂反応もう言葉の響きがまずい。人が聴覚や視覚への刺激によって感じる、心地良い、脳がゾワゾワするといった反応・感覚の事である。因みにバイノーラルは、イヤホン等を使うと立体的に聞こえる録音方法の事。

 絶頂というにはほど遠いが、耳かき音、心音、炭酸音、囁き声が、イヤホン越しに聞こえる距離感には、言葉にできない凄みがある。その他にも創意工夫が多く面白い。

 ex. https://www.youtube.com/watch?v=GgkUiWCktxM

 

 これらを利用した動画は、女性向けがやや多い印象があるが、これは古来よりオタク業界には、超豪華声優陣による由緒正しい「羊でおやすみCD」や「週間添い寝CD」があり、受け入れる土壌が既にあったからとも考えられる。嘘かもしれない。既に作られているコンテンツをオンラインホストとして水平展開することも可能だろう。男用コンテンツはなんというか、良い。

 

 機材類に関しては、専門サイトに纏められている。最小構成は、左右に指向性が付いた専用マイク、延長ケーブル、iphoneで、1万円前後で整う。https://asmrlabo.com/livehaishin-osusumekizai/#i

 2000円追加位のオプションサービスにして、マイクの横あたりにキスとか動画と音が同期していれば結構臨場感ある気がする。飽くまでアイデアである。怒らないでほしい。

 

触覚提示との融合への展望

 ASMRは強力だが、音と動画だけではどうしても物理コミュニケーションの代替になりきれない。触覚、やはり人類は距離を超えて、触覚を電子に載せた時に初めて、新たな体験を得られるといえよう。

 ハプティックデバイスの開発とその研究は、Facebookを始め世界中で今非常にホットな分野である。その中には、Kissをメッセージ化させて送る研究もある。舌そのものを再現するハードも開発されるなど、とりあえずアイデアは膨らむばかりだ。

 

 ただ、視覚に対するヘッドマウントディスプレイのように、触覚に対するデファクトスタンダードを確立することは容易ではない。イリュージョン社の某最強”触覚センサー内蔵のフルボディーVRセット”は、飽くまで現状の合理的帰着と信じている。最後は、あらゆる形態や質感に変化可能なゲルとかになるのだろうか。

 遠隔交流が、十分に妥協レベルで可能になった時、人類の働き方や生き方はより自由になると考えられる。楽しみである。

 

The Kissenger simulates kissing your long-distance lover

Cheok, Adrian David, and Emma Yann Zhang. "Electrical machine for remote kissing, and engineering measurement of its remote communication effects, including modified Turing test." Journal of Future Robot Life Preprint (2020): 1-24.

www.youtube.com

Licker:

Shijo, Ryota, et al. "Licker: A Tongue Robot for Representing Realistic Tongue Motions." SIGGRAPH Asia 2019 Emerging Technologies. 2019. 27-28.

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Shijo, Ryota, et al. "Licker: A Tongue Robot for Representing Realistic Tongue Motions." SIGGRAPH Asia 2019 Emerging Technologies. 2019. 27-28.