評論系/情報系同人誌レビュー① ハルキになる3つの方法
『ハルキになる3つの方法』
ハルキになる3つの方法でハルキになりたい
かつて『会議でスマートに見せる100の方法』という本が注目されたことを覚えている方はいるだろうか。本書はそれに近しい面白さが詰め込まれている。
会議でスマートに見せる100の方法 (早川書房) | サラ クーパー, ビジネスあるある研究会 | ノンフィクション | Kindleストア | Amazon
特に、圧迫面接必勝法は必読で、これから面接を控える学生にとって心強い指南書になるだろう。薄さの割に詰め込まれた文字量も、諧謔的な言葉遣いが小気味良くスっと読める。ハルキ度チェックシートでしっかり復習することで、あなたも立派な”ハルキ”になれると思われる。
そもそも世の中には2種類の人間がいる。村上春樹の本を1冊も読んだことがある人間とそうでない人間だ。私は後者に違いなかった。ただこの16ページを読むだけでも”ハルキスト”が衒学的であることは、東京大学に入学した新入男子大学生が駒場キャンパスの学生会館に座り、クリスティーナ・リッチを夢見るヴィンセント・ギャロのような顔立ちで、ハイデガーを引用しながら恋愛工学を語ることが可愛く思えるようになるほどに明らかだった。だが、衒学的であろうとなかろうと、どちらでも変わりはないのだ。入口と出口がついている犬小屋のようなものだ。どっちから出てどっちから入っても変わりはない。本書も、そういうものだ。